オッサンになったら・・・
「スポーツカーに乗ろう」

《40でポルシェ》
人には打ち明けた事の無い密かな計画だった。
しかし30代になり、それが無謀な事だと気付き始めた頃から気になる車があった。











「フェアレディZ」
それも30型でも、31型でも、又33型でもない「32型のZ」である。
ただ、ステップワゴンに何の不満も無かったから、とても漠然とした気持ちであった。

2003年春
その日は突然やってきた。
通りがかりの中古車屋に一台の白いZ32が停まっていた。
車両価格45万円
えーーー!こんなに安いの?
新車なら500万円弱の車が約1/10で出てるなんて知らなかった。
衝動的に店員に声を掛けた。
「すんまへん。中見せてもらえまっか?」
リアを開けてビックリ!
でーーーんと何やら「う〜は〜」と呼ばれる装置がスペースを占領していた。
店員「車両価格の約半分がオーディオ関係で占められている、マニアの方ならよだれもんのシステムです。」
おいっ、40手前のオヤジに繁華街で「兄弟船」ガンガン鳴らせってか???
よく見るとボディはフロントもサイドもベコベコのサビサビでひどいもんだ。
いい夢を見た・・・そう思って店を後にした。

しかしながら、念の為?にと帰宅後ネットで中古Z32を検索してみた。
あるじゃん、アルジャン、アルジャーノン!(ぷっ 笑)
下は30万ぐらいから上は・・・300万?巾ひろ〜い!
おっ、さっきと同じ45万円 
平成2年式 ツインターボ アルミ ローダウン エアロ 美麗 走行・・・えっ10万キロ?これか、これがポイントだな?
いいや、動けば。
早速店へ電話を入れ、手がついてないことを確認の上、翌日現場へ!

小さな店だが3台の32型が停泊。
いずれもが50万前後の訳あり車?ばかりだが、最初にネットで見たマシンを直感的に仮おさえ。
今度は下取りだ。
その足でステップワゴンを買い取りセンターへ向かわせる。
一軒目で相場をチェック。
二件目で営業力の駆使と、ごね出しそうな風体を演じ10万円の上乗せで話しをまとめる。
再びZの店へ舞い戻り近日中に現金一括支払う事で仮契約成立!
白いZ32を見かけてから、約30時間の出来事であった。

「ただいま〜!今度新しい車がくるからねー」
子供達は荷物がいっぱい積めるステップワゴンが大好きだった。
「ホント―?なぁ、どんなんどんなん?」
「来てからのお・た・の・し・み」
後ろは体育座りをしないと・・・そんなこと・・・言えなかった・・・

一週間後、Zがやってきた。
子供達の冷たい視線に、ただひたすら謝るしかなかった。